第3章 第二章 変化を求める、カメレオン
「ねぇ、どうして君はあの小娘の事を政府に言いつけないの?」
純粋な問い。本当に、理由が検討もつかない。
こんのすけは、一瞬「小娘?」と詰まったものの、直ぐに理解したようで口を開いた。
「実は………いえ、これは見ていただく方が早いでしょう。私の首もとを見てください。」
言われて、素直にこんのすけの首もとを見る。
(……………何だ?別に何もないけどな。あれか、からかわれてるのか。いや、卑屈過ぎるだろ私の思考回路。というか、待った本当に何も見えな……………)
「あ………れ?」
歪んだ思考と格闘すること数秒、ふとこんのすけの首もとに糸屑がついているのを彼岸花は見つけた。
「こんのすけ、首もとに糸屑………………って、レベルじゃねーぞ、これ」
取ろうと手を伸ばした途端に糸が増えていく。
グルグルとこんのすけの首を絞めるように巻き付くそれは、段々とその色を白から朱へと変えていった。
「これは……………何?凄く、不味い気がする」
「これは、呪いの証です」
呪いの証。通常時に聞けば笑い飛ばすような痛みを伴う言葉だが、今は絞められた首の方が痛そうで何を言うこともできない。
「誰がやったの…………って、聞くまでもないですわな」
あの小娘か。呪術まで使えるとは………。
彼岸花は、内心冷や汗をかいた。思わぬ敵の強大さに些かたじろいでしまっているようだ。