第3章 第二章 変化を求める、カメレオン
本丸生活、1日目夜。
まだ痛む顎と拳を擦りながら、彼岸花は屋敷内を彷徨いていた。
というのも、彼岸花はあの後、座敷にて放置プレイをくらい、誰も帰ってこないまま、夜を迎えてしまったのだ。
確かに、寝ていた彼岸花も悪いとは思う。結局ある……………小娘以外とは話もできていない。
彼岸花としては、先程の自分の決意を尊重してまずは話を聞きたいところなのだが……………。
「「あ」」
丁度よいところに。彼岸花は曲がり角の先にいたこんのすけを捕獲した。
「わわっ、何をなさるのですか!?」
彼岸花が抱き上げると驚いた様で、手足をバタバタを動かすこんのすけ。
「ふっふっふっ、無力なものよのぅ。所詮狐の力。妾を倒すまでには至らぬか」
「何を仰っておられるのですか!?妙な気を起こしているのなら、お止めください!!」
案外鋭い突っ込みに感心しつつ、甘んじて肉きゅうチョップを食らう。もふもふで、ふにふにだ。
「ははは。すみませぬ。………あ、そうだ。私の名前知ってるかな?」
折角の自己紹介の機会だ。彼岸花はこんのすけを顔の前まで持ち上げ、尋ねた。
すると、こんのすけはあっさりと頷いてしまった。ありゃりゃ。
「もちろん。存じ上げております!彼岸花様!」
「あー。そっか。君はただの狐じゃなくて政府の犬だものね」
「何という物言い………まぁ、それはよいのです。」
「え、いいんだ」
「えぇ。」と頷くこんのすけ。
彼?は、ピョンと彼岸花の手より逃れると、改めて此方に向き合った。
「先程は申し訳ありませんでした」
突然の謝罪。思わず彼岸花の目が点になる。
何だろうか。謝罪を受けるような事は何一つないと思うが。
「どうしたの。別に貴方が謝ることなんて何もないよ」
思わず素の口調で聞き返す。しゃがんで頭を撫でてやると、少しだけ抵抗された。
その事に密かにショックを受けるが、すぐに切り換えて彼の言葉に耳を傾けた。
「いいえ。沢山あります。審神者様のこと、刀剣男子の皆様のこと、この本丸のこと」
「あー。そっか、君がいたのか」
冷静に考えて思い出した。そうだ、この子は癒しのペットではなく、この本丸の管狐だった。なら、この本丸のことはこの子に聞けば解決である。
ただ、それを思い出した時点で1つの疑問が浮上する。