第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム
「成る程。ですが、闇落ちしている刀剣となると……………」
そこまで話して、こんのすけが考える素振りを見せる。
彼岸花は、今さら隠すことでも無いだろうと、口を開いた。
「言って、こんのすけ。今更、覚悟はできてるよ」
「……………そうですね。話しましょう。闇落ち………というより、それに最も近い刀剣は………三日月宗近だと思います。」
こんのすけは暗い声でそう言った。彼岸花は、頷く。
「成る程。………あの、白い人は?」
初日にこんのすけが壊れていると言った刀剣男士だ。
「鶴丸国永ですね。彼は、確かに危ないとは思いますが、まだ言葉は通じます。少なくとも、私が知っている限りそんな様子はありませんでした。」
「でも、こんのすけって結構な間、一部刀剣達と距離を置いてたんじゃないの?」
これも初日にこんのすけが言っていたことである。
彼岸花が指摘するとこんのすけは言葉を詰まらせた。図星のようだ。
どなると、結構前の情報ということだ。
聞いておいてなんだが、現在活かせる情報かどうかは中々厳しいようだ。
「まぁ、参考にはなったよ。ありがとう」
こんのすけの頭を撫でながら、彼岸花は苦笑いする。
こんのすけは顔を下げてしまったが、彼岸花は励まし続けた。
「ほらほら。落ち込まないで、取り敢えず地下の本を確認しにいこうよ」
「…………………………はい。」
こんのすけが取り敢えず頷いたところで、彼岸花は太郎太刀を置き、こんのすけを抱き上げた。
「それじゃあ、また。」
誰にともなく言って、彼岸花は太郎太刀に背を向ける。
地下の本棚の本を確認する。
真相を知った今となっては、この部屋そのものが気味悪く感じた。
それでも、その感覚を抑え込んで本を漁る。目当ては、前審神者の行いが記されたもの。
太郎太刀の言う仲間が誰にしろ、情報が欲しかった。
(………それにしても、どうしてこんなものに魅せられるんだろう)
彼岸花は今や吐き気すら込み上げてくる神話の本を捲りながら、悲しい気持ちになった。
あの時は綺麗だと思ったニンフの絵も、今はそう見えない。
しかし冷静にならねば。知ろうと思った心は間違ってない。だから、騒ぐ前に見届けよう。
ページを捲る手が速くなったり、遅くなったりしながら、彼岸花はその後も本を見続けた。