第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム
「………………………………………………行きましたね」
「うん。そうだね」
山姥切が、去ったのを見届け、彼岸花とこんのすけは木陰より顔を出した。
「なんか、意図せず自分の悪口を聞いてしまったのですが。」
彼岸花は苦い顔で呟いた。視線の先には先程まで山姥切と五虎退が座っていた地面。
「でも、取り敢えず太郎さんが見つからなくて良かった。」
呟いて、先程然り気無くずらした太郎太刀を手に取った。
彼等がここに居たのを見たときは心臓が止まるかと思った。何せ、太郎太刀は地面に埋まっているわけでも、カモフラージュがしてあったわけでも無いからだ。
この太郎太刀が見つかると、中々にまずい。
彼岸花は、太郎太刀を抜刀してこんのすけに見せた。
「ほら、これが闇落ちした太郎太刀」
「これは………もう、付喪神は宿っておりませぬ。」
「やっぱり、そうなんだね。」
彼岸花は解ってはいたが、期待が外れて肩を落とした。
太郎太刀の本体は、もうボロボロだ。だが、折れてはいない。
だから、地下の本の内容の事もあり、もしやセーフなのではないかと先程急に閃いたのだが、やはりそんなことはなかった。
「地下の本には、普通に折ったらダメって書いてあったんだけどな………。あれって、普通に折っても死なないって意味じゃないの?」
「彼岸花様が言っているのは、恐らく闇を祓う儀式の事ですね」
「ぎ、儀式………って、何?すると、どうなるの?」
「それをしないと、闇落ちした刀剣についていた闇が他の刀剣にも影響するのです」
「何それ、こわっ!?」
(え、もしかして、私にも影響あるの?)
自覚していなかったが、実は自分も闇落ち寸前だった!?……………なんて、つまらないラノベみたいなノリはさておき、彼岸花は考える。
「待てよ。影響するってことは……………もしかして、太郎太刀の仲間の方は太郎太刀が来ていた事を知ってるのかな」
「仲間?」
「そう。太郎太刀が言ってたんだよ『仲間を迎えに来た』って。最初、私はそれを弟さんの事かと思ったんだけど、そうじゃないみたいなんだ。となると、太郎太刀の仲間についての話になるんだけど………もしかして、それって闇落ちした刀剣を指しているのかな………って、思ったんだ。」
彼岸花は自分の思考を纏めるように話す。今のところ、考えられる可能性はそれが一番高い。