• テキストサイズ

〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム


「兄さん達が、愛染君に聞いたんです。「とうして、あの新人の女と一緒に居るんだ」って。そしたら…………」
「そしたら………?」
山姥切が繰り返して先を促した所で、五虎退の目に再び涙が溜まっていく。
「お、おい………?」
何か不味い事をしてしまったのだろうか。それとも、顔が恐かったか?解らない。山姥切は慌てる。
「だ、大丈夫です………ぐすっ。そしたら、愛染君が「人の事言う前に自分達もいい加減、兄弟をダメにするのはやめた方がいい」って、言ってきて………」
「……………………それで?」
「兄さん達が、それに怒って愛染君と言い合いになったんです。僕、どうしたらいいのか解らなくて………山姥切さん」
五虎退が山姥切の顔を見上げる。
迷子の様な目に一瞬怯むが、今そんな事を言っている時じゃない。山姥切は覚悟を決める。
「………なんだ」
「僕達、一兄をダメにしてるんでしょうか?一兄が僕らを守ってくれたから、今度は僕らの番だと思っていたんですけど………最近、一兄辛そうなんです………」
「それは…………………お前が、決めることじゃないのか」
咄嗟に出た言葉に、山姥切はしまった、と思った。
「僕、が……………」
だが泣き出すと思っていた五虎退は、以外にもその言葉を素直に受け止めた。
真剣な様子に、一瞬でも彼を子供扱いしたことを山姥切は恥じた。
「…………山姥切さん」
「………何か、結論は出たか」
「はい。僕、やっぱり兄さん達に話してきます。何だか、最近の一兄は一兄らしくないから」
「………………そうか」
「お話、聞いてくれてありがとうございました。」
此方に頭を下げる五虎退を見ながら、山姥切は彼の選択の強さと、訪れた変化に、何か焦燥感に似た者を感じた。
(五虎退は、変わった。)
今、この瞬間に。それは、何故だろうか。
山姥切に話を聞いてもらったから、いや、そうじゃない。愛染と喧嘩をしたから………違う。もっと、根本的な事だ。
(あいつの、影響か………)
いつぞや、山姥切に頭を下げて礼を述べた少女。変わり者としか言えない少女の、一体何が奴等を変えたのか。
愛染だけでなく、歌仙や燭台切までもを変えた少女。
いい加減、彼女を無視できないことは山姥切だけじゃなく、皆がそう思い始めてる。
(とは言え………)
何を話せばいいのやら。
先ずは、自分がどうしたいかだ。でも、それが解らない。山姥切の思考は続く。
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp