第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム
ーーー同時刻政府にて
「それでは、これで話は終わりです。お疲れさまでした」
広い部屋に男と少女が二人。
男は、手早く書類を纏めると、少女に対し嘲笑う様な笑みを浮かべた。
「それにしても、災難でしたなぁ。本丸の近くに歴史修正主義者が攻めてくるなど」
「………そういう場所を提供したのは、何処の誰よ。気持ちの悪い」
「随分な言い方ですな。それにしても、そのどさくさで殺されなくて良かったですね。自分の物は既に躾済みですか」
「……………」
「黙りはいけません。貴方は、もう堕ちるところまで堕ちてしまった。刀剣達をなぶるのは結構ですが、本来の目的は果たしてくださいね。」
「…………だから、ちゃんとやってるじゃない。何が言いたいの?」
「…………………時間は流れる、ということです。貴方は、何も変わっていないかもしれないが、世間もそうな訳じゃない。変化は日々小さくとも起こっていて、ずっと今が続く訳じゃない。貴方が、殺される日も近いやも」
「……………そんな馬鹿なへまはしねーよ。あいつらに、隙なんて死んでも見せない。あんな奴等、逆らったら捨てればいい。それだけよ」
「………………おやおや。随分と、傲慢な。だけどね、貴方の元に居る彼女は、一筋縄で折れる相手じゃない。それだけは、言っておきましょう」
男は笑うと、立ち上がった。
少女は、床を見たまま怒りに肩を震わせる。
「やっぱり。あんたが、あいつを送ってきたのね。私がーーー女嫌いと知っていながら」
「違いますよ。僕は何も知りません」
「煩いっ!!あんた、何をするつもり!?あいつに、何か吹き込んでるんでしょ!!だから、あいつは私に逆らうんだわ、何?あいつに私を殺させる気!?」
「落ち着いてください。僕は知りませんよ。ただの、くじ引きです。引き当てたのは、貴方の方だ。ここらで、その曲がった根性を叩き直したらどうですか?」
「………ふざけんな。人の事何もかも調べておきながら、おちょくりやがって。お前も、何時か殺してやる」
「物騒な人ですね。本当に愚かだ」
「黙れ。」
少女の顔が怒りで赤くなっている。
まるで小さな鬼のようだ。まぁ、行いは本当に悪魔そのものだが。
男は軽く肩を竦めると、少女に背を向けた。
ブラック本丸主、×××恵。
奴の始末も、そろそろかもしれない。
男は、小さくため息をついた。