第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム
「まぁ、直ぐに打ち解けられないのは覚悟の上だからね、気にしないで。寧ろ私は彼が心配だよ」
彼岸花は浮かんできた考えを取り敢えず頭の隅に追いやって、燭台切達に答えた。
「心配、って何がだ?」
愛染が解らないというように聞いてくるので、彼岸花は少し考えて口を開いた。
「そうだね、無理してるんだろうなぁ、ってこと。」
「無理かぁ。まぁ、皆それぞれ無理してると思うけどな。蛍も国行も何か毎日考え事してるし。」
「あらら、なら今度その二人も呼びなよ。手合わせして、体を動かせば取り敢えず変わるものもあるかもしれないし。」
「え………」
彼岸花は良かれと思って提案したが、愛染の反応は予想以上に悪かった。
「いやー。国行はともかく蛍はやってくれると思うけど………」
「じゃあ、蛍さんを呼びなよ。大歓迎だ!」
「……………」
彼岸花が指を立てると、愛染は今度こそ固まってしまった。
何か、不味いこと言ったかな?と思っていると、歌仙が横から話に割って入ってくる。
「君、蛍丸と戦う気かい?正気の沙汰とは思えないね………まぁ、君が戦う分には止めないが」
「待ってくれ。何?それほど不味い相手なの?つーか、止めろや」
「蛍はちっこいけど、すっげぇ強いんだぜ!」
彼岸花が歌仙に情報提供を求めていると、愛染がそう言って、嬉しそうに笑う。
「すっげぇ強いんすか…………」
彼岸花は愛染の笑顔を見ながら繰り返す。
「まぁ、強い奴と戦えるのは良いことだろ?負けてもいいから、やってみろよ。」
「そ、そうだね。何事も経験か」
獅子王に慰められて、彼岸花は頷く。そう、何事も経験なのだ。一対一でデスバトルをするよりは、手会わせで済ませる方が何十倍もいい。
「じゃあ、纏まったところで次は俺と手合わせしようぜ!」
獅子王が、そう言いながら細い自分の本体を抜く。
長谷部が来たときの重い空気は少しだけ和らいで、辺りには再び戦う空気が出来ていた。
彼岸花は、無言で頷き、刀を構えた。
彼岸花が、獅子王に負けて空を見ているとこんのすけが走って来るのが視界の端に見えた。
「彼岸花様~!」
「おぉ、こんのすけ!どうした?」
腕を広げてこんのすけを抱き締める体制を作るが、無視される。
「連絡です。主様が政府に呼び出されて出ていきました」