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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム


燭台切の戦いかたは、まさに戦のそれであった。
戦い慣れている感じは、彼の余裕から見てとれた。
一撃一撃が重く、強い。燭台切の一撃を受け止めただけで手が痺れて、奥歯に重い衝撃が走った。
必死に受け止める最中で、燭台切の呼吸を聞く。
力強い吐息は、普段の彼とは違う戦を楽しむような喜色が滲んでいた。
(でも、これなら………!!)
彼岸花は、息を大きく吸って、小さく吐いた。
「!お、おぉ!!」
外野の獅子王が、声をあげる。
それは、彼岸花の呼吸切り替えが上手くいったことを、案にそして客観的に教えてくれた。
先程まで打ち合っていたリズムを無理矢理切り替える。
いっそ互いを読み合い始めて心地よくすらなっていた打ち合いが、波紋のように乱れて、糸をくしゃくしゃにしたかのように滅茶苦茶になった。
対応が一瞬遅れて、それから切り替えてくる燭台切。その早さは、確かに信じられない早さだし、前の彼岸花だったら逆にそこで負けていただろう。
(………踏み込んで、それから)
でも、それは前の彼岸花の話だ。
昨夜、太郎太刀に出来た隙はもっと短かった。
あの時、恐れる暇もなく突っ込んだあの感覚は、今も体を巡って、血を沸きあがらせた。
その感覚が今、ここで、蘇る。
「……………っ!!」
燭台切が刀を彼岸花の首に当てる。
でもそれは、彼岸花は燭台切の首に刀を当てた後の話。
…………………………勝った。
静かな声で自分が呟いた。
一拍遅れて、息を吐く彼岸花。燭台切も息を吐いた。
「………お見事。負けたよ」
「ありがとう」
彼岸花が微笑む。燭台切が少し頬を赤くした。………彼岸花の目の前で直ぐに顔を背けてしまった燭台切。
少し変な態度に彼岸花は首をかしげるが、その前に勝利の喜びが込み上げてきた。
「私、勝ったんだ………」
呆然と改めて呟く。
振り返ると、驚いた顔の四人………と、真顔の大倶利伽羅。
彼岸花は、その反応で再び顔を綻ばせた。
「やった、勝ったよ!!」
いえい!と、刀を天に掲げて彼岸花は宣言した。
それを合図に、愛染と獅子王が駆け寄ってきた。
「すげぇ!!燭台切に勝った!」
「やるじゃん、お前!前は歌仙に負けてたのに!!」
それぞれ賛辞を述べてくれる二人。取り敢えず、獅子王は許さん。
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