第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム
ーーー信じてみたいと、思ってしまった。
もう、期待することを止めたはずなのに。
彼女の何を見て、燭台切の心が変わったのだろうか。
最初に彼女が畑で不敵に笑って見せた時?それとも、主に逆らって洗浄に出たその時?それか、彼女の言葉を聞いたとき?もしくは、満月の夜、彼女が自分に誇れるように生きたいとそう言ったとき?
どれも正解のようで、違うようで。彼女の言葉の全てに心臓を掴まれて、こんな風に生きれたらいいな、なんて思ってしまった。
そう思って、道を決めた。
もう一度、壊れたものを取り戻せたら。
何時かまた、皆で笑える日が来るのだろうか。
「……………なんて、思うんだよ」
夢のような未来の話。
そういう日を、彼女は掴もうとしている。
その未来への手助けを、少しでも出来たら、いい。
彼女の側は不思議と、息が楽になる。
何も知らない彼女の、思い全てを知りたいと思う。
変わることは恐いけれど、もう、変わり始めている。だから、それに置いていかれないように。進まないと。
「それじゃあ、最初の小娘は気弱だった訳か。」
「えぇ。あの方の崩壊に初期刀である加州清光が関わっているのは間違いありません。ですが、その加州清光はもういない。主様の心の内を知る方法は絶たれ、今もあの方は苦しんでいる。」
「……………こんのすけは本当に優秀な管狐だね。」
「え?」
「だって、こんのすけは今も小娘を助けようとしてるんでしょ?優しいなぁ」
呟いて、彼岸花はこんのすけの頭を撫でた。
「そうだね。小娘の心を知る方法は少ないかもね。だけど、無い訳じゃないよ」
「え!それは、どんな方法ですか!?」
「聞けばいいんだよ。小娘に。」
「……………………………え?」
唖然とするこんのすけ。彼岸花は笑った。
「もちろん。直ぐには無理だろうね。だけど、聞いてみるよ。そしたら、あの小娘も救えばいい。」
あっさりと言っては見るが、それが難しいことを彼岸花は知っている。知っているが、そうしよう。
こんのすけは小娘を救おうとした。なら、それを叶えるのは自分の役目だ。
小娘を殺して終わりなんて、ただの逃げでしかない。
大変だけど、ずっと未来に希望が持てる答えだ。
「……………そういえば、今日何があったか言ってなかったね。実は………」
唖然とするこんのすけの頭を撫でながら、彼岸花は話し始めた。