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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第6章 第五章 タイムリミット&ストップタイム


よろよろと首をゆっくり動かして、台所に現れた鶴丸を見る。その後ろには更に数名刀剣男士がいた。
崩れ落ちた燭台切と、横たわる長谷部を見て、鶴丸が目を見開く。
その目が今だ皿を叩き割る少女に向く。
「主、これは……………」
「何。何か悪いの?私が主なのよ。………いいや、それすらも演技?小娘がようやく逆らうようになって内心焦ってるのかしら。そうよねぇ。今まで、あんた達の我が儘を叶える都合のいい小娘だったものね。本当、馬鹿みたい。」
「主、もしかして、加州が居なくなって錯乱しているのか?なら、止めるんだ。加州は帰ってくる。必ずだ。」
「加州、って。そんな名前を出すなよ。お前、死にたいのか」
「………主、俺の話を聞いてくれ。」
「お断りよ。何の見返りも無いことをするのは、もうやめにしたの。話を聞いて欲しいのなら、何かを寄越しなさいよ。例えば、その眼とかね。」
「………………………主」
言葉を失う鶴丸。
燭台切は、その光景を見ていた。
立ち尽くす鶴丸。
醤油の瓶を掴む少女。

「覚悟もないやつが、私に話しかけるな!!!!」

激昂。瓶が振り上げられる。
そして、それが鶴丸を捉えて………
「っ!!止めてくれ!!!」
燭台切は叫んだ。
だけど、伝わらない事がある。
「                」
鶴丸が叫び声をあげた。
瓶がくだけちって、中から醤油がこぼれていく。
悪夢のような光景の中で鶴丸が倒れる。彼の銀色の髪が赤く染まって、醤油の色もついて、混ざりあって………。
最悪の始まり。
これが、地獄の始まり。
少女の顔に、罪悪感はない。それどころか、彼女は皿を割ることを止めなかった。
しばらくして彼女が台所を去ったとき、燭台切は頭を抱えていた。
何が、いけなかったのだろう。
それから彼女は、誰かと無理矢理、体を重ねるようになった。
どれだけ近づいたって、変わりやしない。
彼女に言葉は通じず、初期刀である彼も帰っては来なかった。
時が過ぎて、何人もの人間が少女を変えようとした。
けれど、それすらも無駄でしかなかった。
目を寄越せ、口を開くな、気持ち悪い、ゴミ。ありとあらゆる言葉で、ありとあらゆる手段で、彼女は地獄にあり続けた。
諦めて逃げ出すもの、同情を引こうとするもの、反応は様々であったが、誰もが何も変えずに帰った。
だから、燭台切も期待することを止めた。
そして、彼女が来た。
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