第4章 アナタ ト イキタイ【イケメン戦国】
幸村の言った通り、それから程無くしてさんが俺の所に来てくれた。
「佐助くんっ……大丈夫?」
心底心配そうな顔をして駆け寄るさんの姿に、俺の心臓がドクドクと高鳴る。
「さん、ごめん。
こんな事になっちゃって。」
「ううん。佐助くんのせいじゃないよ。
ケガとかはしてないよね?」
こんな状況でも俺を気遣ってくれるさん。
やっぱり俺は……君の事を………。
「でも、どうしてさんはここに?」
俺がそう問い掛けると、さんは何故か緊張したように身体を強張らせて答える。
「佐助くんと話がしたくて…。」
そうだよな。
俺と元の時代へ戻ろうとしていたんだから、俺と会わなければ先へは進めないよな。
「待ってて。
何とかしてここを脱け出すから。
そうしたら2人で本能寺へ……」
「違うの。」
突然に言葉を遮られて、俺は息を飲み無言でさんを見つめた。
「違うの、佐助くん。
私……ここに残りたいの。
それを佐助くんに伝えたくて、ここに来た。」
「え……どうして?
何があったの、さん?」
「それは………」
言い澱んださんが俯きながら視線をチラリと後ろに向けると
「佐助、大人しくしていたか?」
聞き慣れた冷ややかな声と共に、謙信様が姿を現した。