第4章 アナタ ト イキタイ【イケメン戦国】
御殿に戻って部屋に入っても、家康は私の手を掴んだまま離さない。
「……家康?」
そっと問い掛けてみると、家康は突然私を抱き締めた。
「もう……本当に何なんだよ、あんた。」
「え……?」
「あんたが俺の手の届かない所に行ってしまうって思ったら
居ても立っても居られなくって……
まるで自分が自分じゃ無いみたいだった。」
「心配……してくれたの?」
「心配なんて言葉じゃ追い付かないくらい心配した。」
家康がこんな風に言ってくれるなんて嘘みたい。
ああ…幸せ過ぎて倒れちゃいそう。
「家康……私ね、家康の事が……」
「馬鹿じゃないの。」
私を抱き締める家康の腕にグッと力が籠った。
「の気持ちなんてとっくに気付いてたよ。」
………そうなの?
「大体、置き手紙にだって信長様への挨拶は
そこそこしか書いてなくて、
後は殆ど『家康、無茶しないように』
『家康、身体に気をつけて』って、俺の事ばっかり。」
そ…そうだっけ?
確かに手紙を書いてる最中は家康と離れるのが辛くて仕方なかったけど……。
「あんな手紙を見たら、どんな鈍感でも気付くよ。
信長様だけじゃなくて、
他の皆にもからかわれて大変だったんだからね。」
「……ごめんなさい。」
「ああ……もう……っ…」
急に私の唇が家康の唇に塞がれる。
突然の事に目をパチクリさせていると、家康はそっと微笑んで言った。
「謝らないで。
…………嬉しかった。」