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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第25章 カレシと妻【幕末カレシ】


「一緒に居たのはカノジョさんですかぁ?」

え………私の事?

烝くんはどう答えるのかな?

ドキドキしながら更に様子を見守ってると………

「『かのじょ』さんじゃない。
 『』だ。」



……………っ!!

ダメだ!!

本気で吹き出しちゃうよ。

烝くんは私の事を『かのじょ』っていう名前なのかと聞かれたと思ってるんだ!


これには流石に彼女達も言葉を失う。

そろそろ助けてあげなきゃいけないかなぁ…なんて思った時、彼女達は更に食い下がって来た。

「あの……
 一緒に居た女性は恋人なのかなって……」

これは烝くんにも理解出来る内容だ。

その上で何て答えるのか固唾を飲んで見守る私。

すると………

「は恋人じゃない。
 俺の妻(さい)だ。」

「………さい???」


今度は彼女達が戸惑った様相で首を傾げるけれど、私には分かる。

自分の奥さんを妻(つま)と呼ぶのは明治以降になってからで、幕末の頃は妻(さい)と言っていた。

だから烝くんは私の事を自分の奥さんだと言ってくれているんだ。


「まだ祝言を挙げてはいないけど、
 近い将来、は俺の妻(さい)になる。」

『祝言』という言葉が出た事で、流石に彼女達も理解したようだ。

再びもくもくと料理を食べ始めた烝くんを尻目に、スゴスゴと自分達の席へ戻って行った。
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