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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第25章 カレシと妻【幕末カレシ】


「お腹空いたね。」

「うん。」

「じゃあちょっと早いけど
 宿に入る前に夕御飯食べようか。」


緊張気味の烝くんを連れてホテル近くのバイキングレストランに入る。

烝くんってば意外と沢山食べるし、バイキングなら喜んで貰えるかなぁってチョイスしたんだけど………

「え……?
 これ、全部食べても良いの?」

「そうだよ。
 ここに並んでる料理はどれでも好きなだけ食べていいんだよ。」

「なにそれ…
 ここ、天国じゃん。」

烝くんは私の予想を上回る勢いで喜んでくれた。


お皿山盛りに乗せた料理をニコニコしながら食べる烝くんを見てるだけで私も勝手に笑顔になっちゃうな。

そんな時、私達の隣の席で食事をしている2人組の女の子がチラチラと烝くんに視線を向けているのに気付く。

何かヒソヒソと囁き合ってるし、その雰囲気から烝くんに見惚れてるんだなって察した私はちょっと鼻高々。

うん、烝くんって本当にカッコイイもん!


食べ始めてから30分もすると流石に私はお腹一杯になっちゃって、でも烝くんはまだまだ平気そう。

私が作るご飯も毎日美味しそうに全部平らげてくれるし、烝くんと一緒に居るとそんな些細な事でも幸せを感じさせて貰えるんだ。

「美味しい?」

そう聞く私に

「うん。」

満面の笑顔で答えてくれた烝くんに目を細めて、デザートでも取って来ようと席を立つ。
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