第25章 カレシと妻【幕末カレシ】
壬生へ向かうバスの中、烝くんが私の肩をちょんちょんと突く。
「どうしたの?」
「あのさ……教えて欲しい事があるんだけど……」
「なあに?」
「『いけめん』って何?」
ああ、あのショップ店員のお姉さんが言ってたから。
「俺って『いけめん』なの?
そんな『いけめん』って言われる俺が
と一緒に居て良いのかな……。」
「………プッ!」
何て可愛いの、烝くんってば!
吹き出してしまった私がその後もクスクス笑い続けていると
「何が可笑しいの、?」
烝くんは憮然としていた。
「ごめんごめん。
あのね、『イケメン』っていうのは
カッコイイ男の人って意味なの。
『こんなにカッコイイ恋人がいて良いな』って
羨ましがられたんだよ、私。」
「そうなの?」
「そうだよ。」
「それでは………嬉しかった?」
「もちろん!
だって烝くんは私の自慢の恋人だから!」
「……そっか。」
安心したように頬を紅く染めて頷く烝くんの肩に、私は頭を預けてずっと微笑んでいた。