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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第25章 カレシと妻【幕末カレシ】


「先ずは着替えようか。」

私の提案に烝くんは緊張した様子で無言のまま頷く。

うん、やっぱり現代の環境には驚いちゃうよね。

烝くんはこっちの世界に来てからずっと、大きなビルや走ってる車を目にする度に目を白黒させてた。


そんな私と烝くんが身に着けているのは幕末時代そのままの和服。

流石は古都京都だけあって周りの人は着物姿の私達にそれ程不審な視線を向けないけれど、それでもこのままで観光って訳にも行かないし。

だから私は烝くんの手を引いて、手近なファッションビルへ入った。


私が選んだのはお値段もお手頃な動きやすいワンピース。

そして烝くんは無地の白いTシャツにカーキ色のチノパン、それからダークグレーのジャケット。

所謂、ホントにラフなファッションなんだけど………

「…………カッコイイ。」

試着室から出て来た烝くんを見た瞬間、私は無意識に呟いてしまう。


「お兄さん、イケメンやから何着ても似合うけど
 こういうシンプルな方が益々イケメンさが際立って……
 堪らんわぁ♥」

烝くんに洋服を見立ててくれたショップ店員のお姉さんもうっとりしちゃってるし。

ちょっとジェラシー……でも自慢したい気持ちの方が大きいかな。

このカッコイイ人は私のカレシなんだからね…って!

「ホンマにイケメンやわぁ。
 こんなカレシがおるなんて
 お姉さんが羨ましい!」

お世辞じゃなく本気で羨ましがってるみたいな店員さんにそう言われて、私もちょっと得意気にお礼を言いつつ2人でお店を出た。
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