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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第24章 蠱惑的遊戯【イケメン戦国】


あの夜の出来事を思い出しながら安土へ駆ける俺が背負っている荷物は祝いの品だ。

さんの出産祝いの為に出向いているんだから当然なんだけど……

でもコレ、謙信様と信玄様と幸村からの御持たせなんだ。


3人共が其々さんに会った事があって、しかも3人共が其れなりにさんを気に入ってる。

本当にさんって凄い女性だな。

越後の龍より、甲斐の虎より、日ノ本一の兵より……

そして第六天魔王よりも強いんじゃないかな?



謙信様は

「信長の稚児であるのは気に入らぬが
 が産んだのであれば祝ってやるのは吝かでは無い。」

とか相変わらず素直じゃない事を言いながら、最上級な産着用の反物を用意した。


「の子ならばきっと愛らしい稚児だろうなー。
 稚児が男でなければ俺が嫁に貰う所なのだが。」

なんて信玄様は完全に信長様の存在を忘れて、突拍子もない事を言い出す始末。

そんな信玄様に持たされたのは武田菱が施された懐刀だ。

織田信長の子が武田菱の付いた刀を持ってるなんて、歴史的には大論争が巻き起こりそうだよ。

俺は何だか可笑しくて、でもそれ以上に嬉しくて……

きっと信長様も「この懐刀は稚児の守り刀とする」とか言ってくれるような気がしてる。


そして幸村が用意したのは、故郷の上田から急ぎ取り寄せた蕎麦粉や胡桃を使った干菓子。

「蕎麦も胡桃も滋養があるからな。
 の産後の肥立ちに役立つだろ?」

生まれてきた子だけじゃなくて、ちゃんとさんの身体も気遣う幸村は我が友ながらイイ男だよ。
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