第24章 蠱惑的遊戯【イケメン戦国】
「……………………。」
さんの真っ直ぐな懇願に言葉を失いつつ、それでも光秀さんは未だ躊躇っているみたいだ。
そんな光秀さんに向かって信長様が一際穏やかな声色で語り掛ける。
「光秀……
貴様は俺の様には成れぬが、
俺だとて貴様の様には成れぬ。
口性無い輩共に言わせれば、貴様は狡猾で冷徹鋭利だ。
だがそれは逆を返せば柔軟で沈着、
そして頭脳明晰であるという事。
此の場に居る誰もが持ち合わせていないその圧倒的な才を
生まれ来る稚児に与えて欲しいと望むのは、
俺との我儘であるか?」
あの織田信長にここ迄言わしめるなんて、正直俺は驚いた。
でも、だからこそ俺とさんが生きていた時代まで明智光秀の名が残っているのかもしれない。
そして遂に光秀さんも心を決めたみたいだ。
「貴方との御子であるならば
私だとて愛おしくない筈もありません。」
嫋やかな笑みを浮かべ、そう呟いた光秀さんはさんをそっと抱き起こしたんだ。