第4章 アナタ ト イキタイ【イケメン戦国】
「えーと…何て書いてあるんだ?」
幸村が背後から私の肩に両腕をぐるりと回して手紙を覗き込んでくる。
幸村の吐息が耳に掛かって、ドキドキしちゃうよ。
「『、息災であるか』
へぇ……第六天魔王の癖に達筆なんだな。」
第六天魔王のクセに…って言い方がおかしくて、私はクスッと笑ってしまう。
そして幸村は信長様からの手紙を読んで聞かせてくれた。
「『貴様が違う時代へ帰ると言うならば
縛り付けてでも安土に留め置くつもりであったが
俺と同じ時代を生きると決めたならば
貴様が何処に居ようと俺に幸運を呼ぶ女には変わり無い
だから貴様は好きに生きろ
但し貴様が涙を流す様な事があれば
織田軍の全兵力を持ってして貴様を奪い返しに行く
貴様が選んだ若造と軍神に良く伝えておけ』
………だってよ。
全く、何様なんだよ…信長って奴は。
謙信様は軍神で、俺の事は若造呼ばわりかよ…。」
幸村はブツブツ不満を言っていたけど、私はこの信長様からの手紙が嬉しくて嬉しくて…じわりと視界が滲んでしまう。
信長様は私が置き手紙に書いた事を信じてくれたんだ。
きっと家康や三成くんも信長様を説得してくれたんだよね。
「何だよ……お前、泣いてるのか?」
幸村が慌てて私の前に回り込んだ。
「安土に帰りたくなっちまったか?」
「違うよ。
信長様に認めてもらえた事が嬉しいの。
これでずっと幸村と一緒にいられるんだもん。」
「お…おー……そうだな。」
幸村は頬を真っ赤に染めて、私から目を反らした。
照れてるんだ……幸村。
そんな幸村を心から愛おしいと想いながら、私は信長様からの手紙をそっと胸に抱いて呟いた。
「ありがとう……信長様。」