第22章 其の女【薄桜鬼】
しかし………
その日以降、昼夜問わず何度出向いても……
の店が開いている事は無かった。
それから二月程経った頃か……
の身を案じつつ、時間が空けば捜索を続け焦れた毎日を過ごしていた俺の元に斎藤と総司が連れ立ってやって来た。
「土方さん……
僕と一君から贈り物があるよ。」
「……贈り物だぁ?」
何時も通りの巫山戯た口調だが、総司の目には緊張感が見て取れる。
総司の隣に居る斎藤も、当惑さを顕わに重い口を開いた。
「土蔵に……」
二人に連れられ屯所の敷地内にある土蔵へ向かう。
此の土蔵は脱走した隊士の詮議や、捕縛した不逞浪士への拷問などに使われる場所だ。
何だってこんな所に……
不審には思ったが特に言及はせず、重い扉を開いて土蔵の中に入ると……
薄汚れた板間にぐったりと腰を下ろして居たのはだった。
あれ程探したがどうして屯所に?
然もの上半身は荒縄で拘束されていて、何故が身体中の其処彼処が血で汚れている。
「この人でしょ?
土方さんの想い人。
うん……
美人だもんねぇ。」
此の状況に全くそぐわない総司の呑気な声。
其れを咎める事も出来ず、俺は固まった儘を見下ろす。
「どうして、こんな事に……」
漸く絞り出した俺の問いに、斎藤が言葉を選びながら丁寧に答えた。
「此の女は……
人を殺めました。」