第22章 其の女【薄桜鬼】
は苦し気に身を捩る。
実際に息苦しいのか、それとも心理的に抗っているのか?
未だ止まらないの涙で、俺の頬も濡れた。
顔の角度を変えて何度もの口を吸い、もう観念したか…と唇を解放した途端
「……触らないでっっ!!」
の絶叫が響く。
既にがっちりと組み敷かれているのに、「触るな」という物言いに違和感を感じた。
何かに怯えた様な表情で、俺の下から逃れようと必死で藻掻く。
「おい……。」
「嫌だ……離して…嫌…嫌ぁ……」
何所か可笑しい……
そう思い、俺を跳ね除けようとじたばた暴れるの両腕を掴んで畳に縫い付けると
「いやああああああっっ!!」
断末魔に似た叫声を上げた後、ぷつんと糸が切れた様にぼそぼそと呟き始める。
「駄目……
駄目なんです。
土方さんに触れられちゃ……駄目なのに…」
「何が駄目なんだ?」
「だって……私…
土方さんに溺れて仕舞う……」
「はっ……
溺れちまえば良いじゃねえか。
俺は望む所だ。」
「だって…だって……
そんな事になったら……
私、忘れちゃうもの……」
「………忘れる?」
「私……あの人を忘れて仕舞う。」
「………っ!」
…………そういう事か。
小さく息を飲んだ俺には御構い無しに、の血を吐く様な言葉は続いた。