第22章 其の女【薄桜鬼】
「どうしたっ!?」
勢い良く障子戸を開け放ち、店の中に飛び込んだ俺の目が真っ先に捉えたのは、座敷席の畳の上に転がったの姿。
「おいっ!」
直ぐ様駆け寄り、そのぐったりとした身体を抱えた。
「土…方…さん…?」
ぼんやりと虚ろな視線を漂わせるは、掠れた声で俺の名を呼ぶ。
先ずは意識がある事に胸を撫で下ろし、の有り様を確認してみれば………
赤く腫れた頬、唇の端には血が滲んでいた。
此れは明らかに殴られた痕跡だろう。
何時もはきっちりと着こなしている小袖は、裾も襟元も乱れ白い素肌が顕になっている。
…………こんなのは一目瞭然じゃねえか。
は男に暴行されたんだ。
一人か?
二人か?
店の中は殆ど荒らされちゃいねえ。
それ程の人数でない事は容易に想像が付く。