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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第22章 其の女【薄桜鬼】


ある晩、屯所で斎藤が俺の部屋を訪ねて来た。

「どうした、斎藤?」

「少し報告が……」

「何だ?」

「………。」

何故か言い淀む姿を見遣りながら、こんな斎藤は初めてだと思う。

どんな時も沈着冷静で、明け透けに言って仕舞えば一刀両断に物事を判断するあの斎藤が俺に向ける視線から判断するに……

「俺には言い難い事か?」

「いえ……あの…」

「構わねえから言え。」

「………はい。
 今夜、とある場所に数名の薩摩藩士が集い
 不穏な動きを見せている事が分かりました。
 何か善からぬ策を講じているのではないかと。」

「薩摩……」

俺の中でぞわぞわと嫌な予感が頭を擡げる。

こんな報告の何所に言い淀む理由があるんだ。

それなのに斎藤が躊躇した意味は………



「副長が懇意にしている……
 あの小料理屋です。」
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