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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】


「お前……知ってたんだな?」

「何を…だ?」

「知らばっくれるな!
 知っていて、俺にあの薬を渡したんだろ?」

「まあ過ぎた事は気にするな。
 結果良ければ全て良し…
 そうだろう、政宗?」

「……お前、何時から知ってた?」

「さて……何時からだったかな?
 それでもあの小娘に『政宗が好きだ』と聞かされた時には
 其れなりに動揺はしたぞ。
 その後、考えを巡らせてみたが真っ正直な政宗相手ならば
 さっさと既成事実を作って仕舞うのが一番だと思ってな。」


正に暖簾に腕押し。

くつくつと喉を鳴らしながら続ける光秀に、俺も毒気を抜かれ始めていた。

「……もう良い。
 一応、お前には感謝しておく。」

溜め息交じりにそう言って踵を返した俺の背に、光秀は愉快さをふんだんに含ませた声を掛けて来る。

「奥州筆頭伊達政宗に感謝されるとは存外に気分が良いものだ。
 その返礼として、もう一つ取って置きの情報を教えてやろう。」

振り返った俺と光秀の視線が真っ直ぐに絡み合い、僅かな間の後に一段と低い声で告げられたその内容に、俺は心の臓を鷲掴みにされた気がした。



「あの小娘は………
 は、尻の穴でも随分と愛らしく啼くぞ。」
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