第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】
「馬鹿野郎っ!
吐き出せ、早く!!」
慌てての顎に手を添えて促しても、は口一杯に頬張ったずんだ餅を咀嚼し、そのまま茶で流し込む。
「俺の話を聞いて無かったのか!?
それには媚薬が……」
「私だって……」
俺の言葉を遮り、強い視線を向ける。
「私だって、政宗が好きなのっ!」
「………は?」
此奴は一体何を言っているんだと怯む俺に、も必死の形相で畳み掛けて来た。
「私もずっと前から政宗の事が好きだった。
でもきっと政宗には
妹のようにしか思われてないんだろうなって悲しくて。
ずっとずっと苦しかったの。
でも政宗が私を好きだって言ってくれて……
政宗が私に媚薬を盛るくらい求めてくれるなら
飲むよ、普通に!」
「だけどお前は、光秀が………」
そうだ。
昨日、お前は光秀の胸に抱えられて泣いてたじゃねえか。
俺が考えている理由に勘付いたのか、は少し気不味い様相で視線を逸らす。
「昨日は、光秀さんに慰められてつい……。
光秀さんだけは私が政宗を好きな事に気付いてたから、
話を聞いて貰ってる最中に私、泣いちゃって。」
俺への想いを光秀に相談してたって事か?
じゃあ光秀はの心内を知ってたんじゃねえか。
其れなのに『に媚薬を使う心算だった』とか吐かしやがって……
完全に俺は光秀に転がされたって訳だ。
全く……あの化け狐め!!