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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】


光秀に渡された薬は俺の得意料理でも有り、の好物でも有るずんだ餅に入れた。

丁寧に拵えた餡に確りと練り込んである。

膳の上に並べた料理の中に、然も何でも無い様に置いてあるずんだ餅。

料理と一緒に甘味を出せばは「デザートだ」と喜んで、最後に口にする事を俺は知っていた。

…………未だに『でざあと』ってのが何なのかは分からねえが。


今夜の料理は何時もよりも全体的にほんの少し量が少なめだ。

が腹を膨らませて、ずんだ餅に手を付けないって可能性を避ける為に。

こんな所にまで細かに策を張り巡らせる自分が可笑しくて仕方ねえ。

だが、俺は其れ程迄に……が欲しい。


「わあ……美味しそう。
 いただきます!」

行儀良く手を合わせたは着々と食べ進めている。

やはり甘味は最後に取って置く様だ。

逸る鼓動を抑えて俺も箸を進めるが、どうしたって無口になっちまう。

そんな俺を流石のも何所か可笑しいと感じ始めたみてえだ。

「どうしたの、政宗?
 今日は静かだね。」

「何だよ。
 それじゃあ俺が何時も騒がしいみてえじゃねえか。」

普段通りを装って軽口を叩く俺に、も安心した様な笑顔を見せた。

「ふふ……
 そういうつもりじゃないんだけどね。」

「それよりも、どうだ?
 今日の飯は。」

「うん、凄く美味しいよ。
 私の好きな物ばかり作ってくれたんだね。
 ずんだ餅も!」

そのずんだ餅には俺の薄汚え欲望が練り込まれているにも関わらず、無邪気に喜ぶを見せ付けられりゃ一層胸を苛まれる。

自分の謀略が着実に進んでいる様に安堵しつつも、このままの食事が終わらなければ良いなんて裏腹な考えも湧き上がった。
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