第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】
翌日、俺は然り気無く……
いや…然り気無さを装って、を夕餉に誘った。
此れ迄も何度か俺の御殿で夕餉を共にした事も有ってか、予想通り断られる筈も無く
「誘ってくれてありがとう、政宗。
今夜楽しみにしてるね。」
なんて、は満面の笑顔で頷き愛らしい礼まで言う始末。
そうすりゃどうしたって己の邪さに辟易しちまうが、今の俺はもう退けない底無沼に足を踏み入れているんだ。
俺の矜持である一気呵成。
其れがこんな状況でも活かされるなんて皮肉だよな。
しかし実の所は、己の中でこの惨憺たる欲望に抗い続ける強さを放棄した結果だ。
戦場であればどんな強靱な相手にも絶対に怯まねえ自分が、という小娘一人に此所まで腑抜けて仕舞うなんて……
正しく噴飯物以外の何でもねえよ。
夕刻になり、約束の時刻通り訪ねて来たを自室に通す。
「あれ、私一人?」
不思議そうに首を傾げる。
ああ……そういや、何時もは秀吉だったり三成だったり、以外にも誰か居たよな。
初めて俺とだけの二人きり。
警戒されて仕舞うか…とも思ったが、はまるで気にする事も無く用意した席にちょこんと腰を下ろした。
全く……だからその無防備さが危ういんだよ、お前は!
………その無防備さを利用している俺が言える立場でも無いんだが。