• テキストサイズ

孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】


翌日、俺は然り気無く……

いや…然り気無さを装って、を夕餉に誘った。

此れ迄も何度か俺の御殿で夕餉を共にした事も有ってか、予想通り断られる筈も無く

「誘ってくれてありがとう、政宗。
 今夜楽しみにしてるね。」

なんて、は満面の笑顔で頷き愛らしい礼まで言う始末。

そうすりゃどうしたって己の邪さに辟易しちまうが、今の俺はもう退けない底無沼に足を踏み入れているんだ。

俺の矜持である一気呵成。

其れがこんな状況でも活かされるなんて皮肉だよな。

しかし実の所は、己の中でこの惨憺たる欲望に抗い続ける強さを放棄した結果だ。

戦場であればどんな強靱な相手にも絶対に怯まねえ自分が、という小娘一人に此所まで腑抜けて仕舞うなんて……

正しく噴飯物以外の何でもねえよ。



夕刻になり、約束の時刻通り訪ねて来たを自室に通す。

「あれ、私一人?」

不思議そうに首を傾げる。

ああ……そういや、何時もは秀吉だったり三成だったり、以外にも誰か居たよな。

初めて俺とだけの二人きり。

警戒されて仕舞うか…とも思ったが、はまるで気にする事も無く用意した席にちょこんと腰を下ろした。

全く……だからその無防備さが危ういんだよ、お前は!

………その無防備さを利用している俺が言える立場でも無いんだが。
/ 834ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp