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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】


「じゃあ、お言葉に甘えて
 俺は此処で抜けさせてもらうよ。」

俺が態とらしく得意気に言うと

「ほら、さっさと行っちまえよ。」

左之さんが手をひらひらと振る。

「悪いな。……それじゃあ。」

優里の手を引いてその場から離れようとした時、優里はいきなり皆に向かって深々と頭を下げた。

「皆さん、ありがとうございます。
 これから宜しくお願いします。」

泣く子も黙る新選組の幹部達にも気後れせずに力強く言い切り、頭を下げたままの優里を見つめる皆の目は凄え優しくて、何だか俺の方が泣きそうになっちまう。

「良い娘じゃねえか……平助。
 大事にしてやれよ。」

そう言ってくれた土方さんは今までに見た事が無い程の穏やかな笑みを浮かべていて、俺と優里を認めてくれたんだって胸に熱い物が込み上げて来る。

「ああ……勿論。」

強く頷いて答えた俺は「それじゃあ」と、手を繋いだまま優里と二人で駆け出した。


「あ、言っておくけど今夜の僕達の呑み代は
 平助の奢りだからね!」

俺の背中に投げ掛けられた総司の言葉に、彼奴等どれだけ呑むつもりなんだろうと少し背筋が寒くなったけど……

もう、良いや。

今はとにかく優里と一緒に居たくて、俺の脚は止まらなかった。
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