第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「えーと……僕達はどうすれば良いのかな?」
笑いを噛み殺した様な総司の声に、俺ははっと我に帰った。
ふと顔を上げて見ると、俺と優里を見下ろす皆の視線が痛い。
「まあ…何だ。
取り敢えず二人共立ちやがれ。
天下の往来で新選組の幹部がその様はねえだろう。」
溜め息を吐きつつも優しい響きを含んだ土方さんの言葉に、俺と優里は顔を紅く染めてそろそろと立ち上がった。
「はい、此処で平助は一抜け。
後は僕達だけで親睦を深めに行きましょうか。」
「そうだな。
平助もさっさとその娘を連れて
その辺の出合茶屋にでもしけ込んじまえよ。」
そう言って愉快そうに笑う総司と左之さん。
「ちぇっ……平助に先を越されるなんてよぉ…
想像もして無かったぜ。」
両手を頭の後ろで組み、悔しそうに口を尖らす新八っつぁん。
一君は心底安心した様に
「良かったな、平助。」
と、微笑んでくれた。
そんな皆に見守られながら、俺は優里の手をぎゅっと握った。