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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第21章 真っ直ぐな寄り道【イケメン戦国】


「私……鈍臭いから、家康に嫌われちゃったかも。
 わさびにも悪い事しちゃった。
 わさび……家康に叱られてないかな?」

全く………何処まで可愛いんだよ、お前は。

「其れ、家康が手当てしてくれたんだろ?」

「うん。」

「じゃあ嫌われてる訳ねえよ。
 家康はが心配で、
 つい緊い物言いになっちまっただけだと思うぜ。」

「………ホント?」

「ああ……間違いねえ。
 だからは気にすんな。」

「分かった。
 ありがとう、政宗。」

俺を見上げて嬉しそうに微笑むの姿に鼓動が跳ね上がる。


いや、それよりもさ……

お前、家康の御殿に行ったのか?

只、囲われているだけじゃ嫌だと言って信長様に世話役の仕事を与えられたが、皆への書簡なんかを届ける為に各々の御殿へ出向く事は知ってる。

俺の所にも何度か来たよな。

だけど、わさびに餌をやるとか……

随分家康とだけ親密なんじゃねえか?

まさか……もう家康の手が付いてるなんて事は………

そんな矮小な事を考えて内心焦れている俺を余所に

「私、もう一回家康の所へ行って来るね。
 わさびにも謝って来る!」

なんて満面の笑顔で駆け出す。

「お…おう。
 気を付けてな。」

格好付けてそれを引き留める事も出来ず、鹿に謝るとかどんだけ愛らしいんだと悶絶した俺は、その場で屈み込んで頭を抱えるしかなかった。
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