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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】


土方さんが用意してくれたと言う島原の店まで、皆で他愛の無い話をしながら歩く。

優里と初めて出会った時と同じ市中の喧騒も、今ではもう俺の胸を締め付ける事は無くなった。

それなのに……


「平助!」


突然背後から聞こえた声に、俺の鼓動がどくりと高鳴る。

いや、まさか……そんな事有る筈が……

ぎちぎちと音が鳴りそうな程、ぎこちない動作で振り返った俺の目に映ったのは……

此方に向かって駆けて来る優里の姿。

「平助!」

もう一度叫ぶ様に俺の名を呼んだ優里が飛び掛かって来る。

何が何だか理解出来ず只突っ立って居た俺は、その勢いに押され尻餅をついてしまうと優里も一緒に倒れ込んだ。

「お前……一体…どうして?」

そのままの体勢で俺に跨がった優里の身体を支えながら問うと、優里の両腕が俺の首に回され身を弾ませながら言う。

「違ったのよ、私達。」

「え………何が?」

「だから……私達、違うの。」

嬉しさを抑え切れないといった様子の笑顔で何度も身を弾ませる優里を見て、俺も漸くその答えに思い当たった。

「……本当か?」

「うん。本当。」

見つめ合い、お互いに頷き合う。

「畜生……何だよ、今更。」

そう言いながらも俺は力一杯優里を抱き締めた。

「平助……もう私を離さないで。」

俺の身体に回った優里の腕にも力が籠る。

「ああ……離さねえ。
 これから先、ずっとだ。」
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