• テキストサイズ

孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】


それから月日は流れて……

優里は元気で過ごしているだろうか…なんて真っ当な想いを抱けるようになった頃のある夕刻、左之さんが突然俺の部屋に入って来た。

「よう、平助。
 呑みに行こうぜ。」


あれからまた俺は気落ちしたり、かと思えば妙に燥いだり、我ながら言動が不安定で可笑しかったと思う。

それでも新選組の皆は何も聞かず、何も変わらず俺と接してくれて居た。

その何でも無い優しさが俺は凄く心地好かったんだ。


「何だよ、急に改まって。」

俺が左之さんに不審な目を向けると

「良いから良いから…。
 ほら、行くぞ。」

左之さんはにやりと笑って、俺の手を引っ張り上げた。

何か変だよな…と首を捻りながら玄関に行き、その場で俺は目を見張る。

「何だ……この面子。」

其処には新八っつぁんは勿論、一君に総司……それに土方さんまで居た。

「遅いよ、平助。」

驚いている俺を見て、総司がからかう様に笑う。

「どういう事だよ、これ。」

取り敢えず土方さんに向かってそう聞いてみると、何故か土方さんは照れた様に腕を組み俺から目を反らして言った。

「ああ……何だ………
 まあ、たまにはこういうのも良いんじゃねえかと思ってな。
 親睦と慰労を兼ねて…ってやつだ。」

土方さんの言葉に俺以外の全員がにやにやしてやがる。

………全く、敵わねえな。

素直に俺の為って言えねえのかよ。

此れだからこの仲間達とは離れられねえんだよ。

「仕方ねえな。
 付き合ってやるよ。」

俺は大袈裟に嘯いて、皆の輪の中に飛び込んだ。
/ 834ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp