第20章 Silent Jealousy【イケメン戦国】
「え……?
家康……ここって…?」
「……行くよ。」
家康は私の手首を掴むと、お構い無しにズンズンと中に入って行く。
無人のフロント、部屋を選ぶパネルの前で家康が躊躇なくチョイスしたのは……
金曜の夜に私と秀吉さんが泊まった部屋だった。
もうコレは……間違いない。
………家康は知ってるんだ。
どうして?
何て言い訳すればいい?
ううん…言い訳じゃなくて、先ずは素直に謝ってから……
身体中から噴き出す嫌な汗。
ドクドクと早打つ心臓は痛いくらいだ。
そのまま私は何も言えず、家康に引き摺られるようにしてエレベーターに乗った。
ああ……やっぱりこの部屋だ。
部屋に入った所で私は視線を泳がせたまま立ち尽くしている。
家康はさっさとスーツの上着を脱ぐと、秀吉さんが寝たあの赤いソファの上にビジネスバッグと一緒にドサッと放り出した。
家康は何を考えているの?
聞きたいけど、今の私が家康に何かを問うなんて許されない気がしてる。
怒られるのかな?
別れなきゃいけないのかな?
どうしよう……どうしよう……
「何してるの?」
俯いて考え込んでいた私に掛けられた声に顔を上げると、家康はベッドに腰掛けてゆるりと足を組み……
じっと私を見てた。
その表情からは全く感情が読み取れない。
怯えて動けないままでいると、家康の右手がスッと上がる。
「……
こっち、おいで。」
柔らかい声色にホッと安堵して私がゆっくりと家康に近付くと、その上げられた右手に腕を捕まれ
「きゃっ……」
勢い良くベッドへ引き倒された。