第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「謝らなきゃ……いけねえよな。」
何時もならこの事後の倦怠感すら愉しんでいた俺なのに、今日は只々疲労困憊でごろりと大の字に寝転がって呟いた。
その隣では優里が俺に背中を向け、まるで胎児の様に身体を丸めている。
結局俺は優里の中には吐き出さなかった。
これ迄通り俺の白濁に汚されたのは優里の腹だ。
意識した訳じゃ無かったけど、やっぱりどこかで制御が掛かったんだろうな。
本当に最後の最後でお前を守る事が出来た様な気がするよ。
そんなの完全な俺の自己満足だって分かってるけどさ。
「父が………」
突然に優里が語り出す。
「父が外に作った子供が居ると、
口さがない使用人から聞かされたの。
私の兄に当たる人が存在するんだって……。」
俺は何も言わずに優里の言いたい事を聞いてやろうと思った。
「その人は京の都で新選組の一員として名を馳せていて、
父の落胤で無ければ良い藩主になっただろうって
使用人達は影で好き勝手に噂してた。」
俺が藩主?
……馬鹿馬鹿しい。
その使用人達は今の俺の姿を見てもそう思うかな?
「だから私、どうしても会いたくて…
その人がどんな人か知りたくて……
父の反対を押し切って、強引に京に出て来たの。
京の藩邸に身を寄せながら、その人を探して……
そしてあの日、貴方に出会った。」
ああ、あの時……俺、大声で名乗ったもんな。
其処に偶然お前が居たなんて、やっぱり何か運命みたいな物を感じるよ。
今となってはその運命すら呪ってしまうけど。