第19章 憧憬なんかじゃない【恋愛幕末カレシ】
驚いて目を瞬かせる慶喜さんに向かって、私はニッコリと笑って言った。
「私……慶喜さんじゃなきゃ駄目なんです。
貴方が貴方であればそれだけでいいんです。
立場なんて関係ありません。
これからずっと一緒に居られればそれだけで…っ……」
今度は私の唇が塞がれる。
私からした時とは違って深く深く……貪るように。
「ん……ふっ…」
慶喜さんの舌が私の唇を割り口腔に侵入すれば、それだけで目眩がして倒れてしまいそう。
それなのにその熱い舌は私の口内を無遠慮に這い回り、厭らしい水音が頭の中に響き渡った。
慶喜さんって……こんなキス………するんだ。
いつも優しくて穏やかで……きっと女の子だったら誰でも憧れちゃう慶喜さん。
その慶喜さんからのまるで犯されるようなキスに意識が朦朧とし始めた時………
「ありがとう、。
私は此の上無い果報者だな。
ふふ……ではもう、遠慮はしないよ。
に触れて良いのは私だけなのだから……
を愛して良いのは私だけ……
じゃあ、どうすれば良いのか……分かるね?」
そう言いながら慶喜さんが浮かべた妖艶な笑みに、私の背筋をゾクゾクと言い知れない感覚が駆け上がったんだ。