第19章 憧憬なんかじゃない【恋愛幕末カレシ】
でも……だからこそ、もう慶喜さんには会えないんじゃないかな?
形だけでも幽閉って事になっているなら、面会だって制限されているだろうし。
しかも私みたいな胡散臭い人間が会わせて貰えるとは到底思えないよ。
慶喜さんと同じ時代を生きられれば良いなんて偉そうな気持ちでこの時代に戻って来たのに、会えない事がこんなに苦しいなんて……
私はやっぱり独り善がりで欲張りだ。
そんな自己嫌悪を汲み取ってくれたのか、しゅんと俯く私の背中に手を添えて晴明さんが帝に問い掛ける。
「ねえ、帝。
と慶喜を会わせてあげるのは難しいのかな?
はこれまでの人生を全部捨てて、
覚悟の上で此処に戻って来たんだ。
それなのに慶喜と会えないままなんて酷過ぎるよ。」
縋る視線を送る私と晴明さんを交互に見遣った帝は、それはもうこれ以上は無いって位の見事なドヤ顔を披露して鼻を鳴らした。
「ふん……
貴様等、俺を誰だと思っているのだ?」