第19章 憧憬なんかじゃない【恋愛幕末カレシ】
こうして戻って来た近代日本へ移り変わる狭間の時代。
何故だかこの空気の方が自分にしっくり来るって感じた。
だからもう元の時代に未練なんて欠片も無い。
今は唯々、慶喜さんに会いたくて堪らないんだ。
タイムスリップを繰り返していると、どうしても多少は時間軸のズレが出て仕舞うんだ…と晴明さんが教えてくれた。
だから今が3ヶ月前に私が居た時より、どの程度ズレているのか先ずは確認しなくちゃ……と。
慶喜さんと出会う前?
慶喜さんとお別れした後?
そう考えて私はふと苦笑を漏らす。
ああ……もう私は慶喜さんを中心にしか物が考えられないんだな…って。
「こういう時はね、
時代に流されない絶対的存在の人に会うのが
一番手っ取り早いんだよね。」
そう言ってウインクした晴明さんと私は頷き合い、『その人』の所へ向かった。