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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第19章 憧憬なんかじゃない【恋愛幕末カレシ】


こうして過ごす内に何度か帝の御前にも連れて行かれたけれど、いつも慶喜さんが一緒に居てくれたから怖い思いは全然しなかった。

それに、帝もそんなに悪い人じゃないのかな…って。


帝として生まれてしまっただけで、子供の頃から自由に京都の町を歩く事すら出来なかった。

当然友達だって作れなくて、周りは自分に傅く大人ばかりの世界。

やれ、そんな振る舞いは許されないだの、大人になればなったで世継ぎを拵える為に血筋さえ良ければ誰でも構わないから女を抱けとか……

そんなの確かに心が歪んじゃっても仕方ないよ。

そんな中で真摯に向き合ってくれる晴明さんと慶喜さんだけには心を許せるのだと、帝はこっそり私に教えてくれたんだ。


私もその心を許せる一人になれたのかな。

「何不自由ない人生を約束してやる。
 だから貴様が俺の子を産め。」

帝にそんな風に口説かれても……

これって口説かれてるの?

私は絶対に首を縦には振らない。

だって……今の私の心を占めているのは、慶喜さん一人だけだから。
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