第18章 ずっとずっとずっと、そのまま【薄桜鬼】
ああ………
だから…なのか。
穢された自分の瞳に、俺の姿を映す事を避けたのだな。
俺との行為によって、その身に受けた陵辱を思い返し、揺れる心の機微を俺に読み取られるのを恐れたのだな。
だから俺に抱かれる時に、目を閉じて仕舞う様になったという訳か。
時尾は何処までも、只管に……
俺を護ろうとしてくれていたのだな。
そうであるのに俺は、時尾の苦しみに気付けなかった。
嬲られ続けたその身体と心は罅割れ、悲鳴を上げていた事に気付いてやれなかった。
それ所か、傲慢不遜に時尾を護っている気で慢心していた。
護られていたのは、俺の方だったというのに……。
「時尾っっ……!」
愛おし過ぎる名を叫び、何よりも大切な身体を一層強く抱き締めたその時………
俺の背中に予想もしなかった言葉が投げ掛けられた。
「………逃げなよ、斎藤さん。」