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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第18章 ずっとずっとずっと、そのまま【薄桜鬼】


「斎…藤……さん…」

気が付けば俺の背後の三和土に隣家の夫婦が愕然として立ち尽くしていた。

俺を引き留め損ねた内儀が野良仕事中の旦那を急ぎ連れ戻して来たのだろう。


「………知っていたのか?」

首だけを振り向かせた俺の低い問い掛けに、夫婦は息を飲む。

「あんた達は知っていたのだな?
 俺の妻が……
 時尾がこうなっていた事を。」

「ごめんっ……
 ごめんよ……斎藤さんっ…」

内儀はその場で泣き崩れ、

「済まないっっ……」

旦那も膝を付き、額を土に擦り付けた。



その後、嗚咽で途切れ途切れに紡がれる内儀の言い分を俺は黙って聞いていた。

少なくとも、この夫婦の言葉に嘘は無いと思われたからだ。

「時尾ちゃんは……
 『絶対に一さんには言わないでくれ』って……」

そこから語られた内容は、概ね俺の想像した通りであった。

そして、そうで有ったが故に、事実が俺を絶望の淵へと叩き落とす。
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