第18章 ずっとずっとずっと、そのまま【薄桜鬼】
「私がやりますから…」と譲らない時尾を半ば無理矢理に布団へ寝かせ、俺は夕餉の支度に取り掛かる。
それでも尚、時尾は布団の中から勝手場の俺へ向かって、はらはらとした視線を送っていた。
「そんなに心配するな、時尾。
俺は新選組の屯所で炊事を熟していた。
あんたも俺の拵えた飯を食った事があるだろう?」
「ふふ……そうでした。」
ここで漸く時尾は笑ってくれて……
「懐かしいですね」と俺達が出会った頃に想いを馳せている様子だった。
食欲が無いと言う時尾に何とか食事をさせて、後片付けも終えた。
いつまでも動いていれば時尾も落ち着かんだろうと思い、俺も早々に寝床に入り時尾の隣に横たわる。
「一さん……」
「何だ?」
「今日はごめんなさい。
お仕事でお疲れなのに、
家の事を色々させて仕舞って……」
「気にするな。
俺達は夫婦だ。
遠慮する必要は無い。」
「ありがとう……一さん。」
「時尾……
頼むから無理はしてくれるな。
具合が良くなければ、ちゃんと休め。
あんたの身に何かあれば、俺は生きて行けん。」
「ふふ…大袈裟ですね。」
「大袈裟なものか。
俺は本気だ。」
そう言って髪を撫でてやると、時尾は俺の腕の中で嬉しそうに微笑んだ。