第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「子供じゃねえんだから……分かるよな?
今更退けねえぞ。」
後一歩で優里の身体に手が届く。
俺が優里に向かって手を差し出したその時、優里は怯えた声で俺を呼んだ。
「………兄様。」
瞬間、俺の中で何かが壊れた。
「兄様なんて呼ぶんじゃねえっっ!」
その怒号に息を飲んだ優里は身を翻し、腰を抜かした様に四つん這いのまま逃げようとする。
俺は何時も着ていた物とは違う上質な小袖の裾から覗く細い足首を捕まえてずるりと引き寄せ、優里を俯せに組み拉いた。
「なあ……俺達、疾うに人の道を外れてるんだ。
このまま続けたって、きっと御天道様も見逃してくれるよ。」
かたかたと小さく震える優里の身体を抑え込んだまま、俺は優里の帯をゆっくりと……でも乱暴に解いた。
「………嫌。」
優里は懇願する様に首を横に振ったけど、俺は構わず小袖と襦袢の裾を掴み思い切り捲り上げる。
白くて艶やかな臀部、そこから伸びる細いけど肉付きの良い脚……
何度も目にした筈なのに、俺はこれ迄に無い程興奮し喉を鳴らした。
もう抑え切れない欲望に突き動かされて、その臀部に音を発ててしゃぶりつくと
「嫌っ……こんなのは嫌ぁっ!」
叫んだ優里が激しく身を捩った。
俺をこうさせてるのはお前だろ?
今更自分だけ逃げようなんて……狡いよ。
俺は解いた帯で優里の両手を後ろ手に絡め取り、部屋に在った懐紙を手に取る。
「静かにしろよ。人が来ちまうだろ。
こんな姿、見られて困るのは誰だ?」
そう言って丸めた懐紙を優里の口に突っ込んだ。
「………ぐぅっ…」
苦し気に嘔吐いた優里の惨い姿を見下ろす。
あれ程嫌がる事はしたくないと、大切に守ってやりたいと想っていた優里に……俺は何をしてるんだろう。
だけど俺の心も身体も……どうしようも無く熱り立っている。
もう……止まる事なんて出来ねえよ。
ここからお前にとって地獄の様な時間が始まる。
ごめんな………優里。