第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「ああ…帰りたくねえ。
もっとお前と一緒に居てえよ。」
出合茶屋を出た所で優里を抱き寄せると、優里はくすくす笑いながら
「駄目だよ。
平助は此れから巡察なんでしょ?」
そう言って俺の腕から逃れた。
「そうだけど……
あっ……お前、明日屯所に来いよ!」
「屯所に?」
「ああ。
明日は俺、非番だしさ。
皆に紹介する。」
優里はまた無言で俺を見つめていたけど、舞い上がっちまってる俺は気にせず捲し立てる。
「近藤さんにも報告しなくちゃな。
土方さんは何て言うだろ?
お前に嫁さんなんてまだ早いって小言を言われそうだなぁ。
でも皆、気の良い奴等だからさ。
何だかんだ言っても祝福してくれるよ、きっと。」
「うん、分かった。
………明日ね。」
「ああ……待ってるからな。」
そう言って優里の頬を撫でると、何故か少し寂しそうに笑った優里は俺の手に頬を擦り寄せた。