第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「優里……?」
優里の気持ちを図り兼ねて堪らず名前を呼ぶと、優里は漸く微笑んでくれた。
「ありがとう。
………凄く嬉しい。」
これって……俺の求婚を受け入れてくれたって事だよな?
そう思ったら俺はもう只々嬉しくて、優里を力一杯抱き締める。
「ああ……出来るだけ早く一緒に暮らそう。
屯所の近くに家を借りてさ…」
「うん。」
「俺は毎朝お前に見送られて家を出て…
それで毎晩お前の所に帰る。」
「うん。」
「お前は俺の為に飯を作って、
近所の女房達と井戸端で他愛もない話をしたりして
俺の帰りを待ってるんだ。」
「楽しそうだね。」
「だろ?
それで子供もぽろぽろ作ってさ……
三人…いや、四人は欲しいな。」
「四人も?」
「ああ、俺は兄弟が居ねえから大勢兄弟を作ってやりてえ。
……駄目か?」
「ううん。そんな事無いよ。」
「優里……幸福にする。
お前を生涯守り抜いて、この世で一番幸福にしてやるからな。」
「平助……」
「愛してるよ……優里。」
「………うん。」
俺は一人で舞い上がっちまって、この時の優里の様子が何時もとは違っていた事に全く気付かなかった。