第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
そして沖田さんは私の額に軽く口付けると
「ほら、ちゃんはもう寝て。
後で夕御飯持って来るからね。」
そう言って立ち上がろうとする。
それを引き留める様に段だら羽織の裾を掴んで、私は掠れる声を絞り出した。
「………抱いて下さい。」
もう我慢出来なかった。
これ程迄に沖田さんの想いを聞かされて、この人を求めるな…なんて無理な話だ。
今直ぐ、どうしようもなく、沖田さんが欲しい。
「駄目だよ。
ちゃん、体調が良くないんでしょ?
ちゃんと寝てなくちゃ……」
「お願い………沖田さん。」
潤んだ瞳で見上げる私と視線を絡ませた沖田さんの喉がこくりと動く。
「左之さんとの事……
気にならない訳じゃないって言ったよね?
だから…………
優しく出来ないかもしれないよ。」
低く甘い声で囁いた沖田さんの瞳に妖艶な光が浮かべば、私の身体の芯がずくりと疼いて仕舞う。
「構いません。」
そう答えた瞬間、私の身体は勢い良く押し倒され、沖田さんの唇が私の唇を隙間無く塞いだ。