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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】


私を抱え歩き出した沖田さんは、そこから二間奥の部屋へ入ると私をそっと畳の上へ座らせた。

私の存在を隠す為、もっと人目に付かない所へ運ばれるのだろうと思っていたのに、ここでは原田さんの部屋に居るのと大差ないんじゃ……

そう思って不思議そうに首を傾げる私を余所に、沖田さんはいそいそと寝床の用意を始めた。

「さ、じゃあちゃんは此処に寝て。」

「でも……」

「大丈夫。
 此処は僕の部屋だから。
 僕以外誰も入って来ないよ。」

「そうじゃ……なくて……」

私の言いたい事を何となく悟ったのか、沖田さんは私の手を取り布団の上へ誘いながら笑う。

「左之さんの部屋にちゃんを置いておくなんて嫌だよ。
 だってちゃんは僕の物でしょ?」

あっけらかんと語られる言葉が、逆に酷く私を責め立てている様に聞こえた。

「………ごめんなさい。」

項垂れて謝罪する私の前に沖田さんも腰を下ろし私の両手をそっと握る。

「どうして謝るの?」

「だって……私………
 原田さんとも………」

その後の言葉が継げない私を慰めるみたいに、沖田さんは私の両手を優しく擦ってくれた。
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