第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
「別に謝らなくても良いよ。
お前が望まない事は俺だってしたくねえしさ。」
そう言って額に口付けてやると、優里は嬉しそうに笑って一層身体を俺に寄せて来た。
うん…やっぱり俺の事を愛してくれてるよな?
だから言うよ、俺。
決めた事を言う。
「なあ……優里。」
「なあに?」
「………っ…」
腕の中で俺を見上げる優里が堪らなく可愛くて一瞬言葉に詰まったが、俺は気力を奮い起こして続けた。
「此れから先も…ずっと一緒に居てくれないか?」
「え……?」
優里はきょとんとした顔をしてる。
ああ、分かんねえのかなぁ。
こういうの得意じゃねえんだけど…俺。
やっぱり左之さんに指南して貰っておけば良かったよ。
俺は一つ咳払いをしてから早口で捲し立てた。
「だから、俺と一緒になってくれって言ってるんだ。」
これで流石に優里だって理解出来ただろ?
でも優里は何も言わない。
その沈黙に不安を感じた俺が恐る恐る優里の顔を覗き込むと、何とも言えない表情をした優里と視線がぶつかった。
困っているような…喜んでいるような…
とにかく複雑な表情だ。