第3章 昨夜泣いた君と【薄桜鬼】
そうして出会った俺と優里が、こうやって愛し合う様になるまで時間は掛からなかった。
大袈裟な言い方かもしれないけど、俺は優里を初めて見た時に運命みたいなものを感じたんだ。
きっと優里も同じだったんじゃないかって思ってる。
お互いがお互いに出会う為に生まれて来たんじゃないかって……
格好付け過ぎかもしれねえけど。
それでも俺は、もう優里が居ないと生きて行けねえ位になっちまってる。
今日だってこんなつもりじゃ無かったのに二人で一緒に居たらどうにも我慢出来なくて、半ば強引に優里を出合茶屋に連れ込んで抱いた。
そんな俺を優里も受け入れてくれるのが本当に嬉しい。
「……平助。」
幸福感に浸っていた俺を、優里の声が現実に引き戻す。
優里は二つ年下だけど、俺を『平助』と呼ぶ。
まあ、俺がそう呼べって言ったからなんだけど。
だって『藤堂さん』や『平助さん』って柄じゃねえだろ。
「どうした?」
俺の腕枕に委ねられている優里の頭を抱き寄せながら俺は聞いた。
「………ごめんね。」
何の事だろうと俺が少し眉を寄せると
「いつも……これ……」
優里は自分の腹の上に残る俺が吐き出した白濁にそっと触れた。
ああ……それか。
これ迄数え切れない位優里を抱いたけど、最初から優里は頑なに俺が中で果てる事を拒んだ。
俺だって男だから正直優里の中に思い切り吐き出したい気持ちは在る。
それが出来ない事で、優里を独占仕切れていないって感じる事も…。
だけど優里が嫌がる行為は絶対にしたく無かった。
確かに今、子供が出来ちまっても困るしな。
でも俺……決めたんだ。