第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
「だって……身体が可笑しいの。
こんな…身体中がむず痒いみたいにぞわぞわして……
目の前がちかちかするの。
息も苦しいし……
これって…貴方の所為じゃないの?」
「ちゃん……
もしかして……達った事、無いの?」
「………達くって何?
気持ち良いか良くないか、だけの事でしょう?」
私は至極真面目に問うているのに、男は何故か悲しそうな顔をして私を見下ろしている。
「怖い……怖いよ。
助けて。
私、可笑しくなっちゃうっ……」
遂には私の目からぼろぼろと涙が溢れ出した。
その間にも男の一物を受け入れている下半身からは背骨が溶けて仕舞いそうな鋭い感覚が襲って来る。
「やだ……怖いっ……」
その瞬間、男はいきなり上半身を屈めると私を包み込むようにぎゅっと抱き締めた。
「ちゃん……大丈夫だから。」
「だって……だって……」
私は迷子になった幼子の如く、みっともない程にしゃくり上げ続ける。
「大丈夫……怖がらなくて良いよ。
ね……ちゃん。
全部、僕に任せて。」