第16章 七ツ下がりの雨【薄桜鬼】
そして挿って来た男の長い指が、私の中を確かめる様にゆるゆると動く。
「ねえ、ちゃんの悦い所教えて?
此所?
それとも此所かな?」
私は苛つきを隠す事無く無表情で答えた。
「……足りない。」
その答えを聞いた男はやはり心底愉しそうにくすくす笑うと
「やっぱりちゃんって最高。」
そう言って二本目の指も一気に差し込んだ。
「うん、濡れて来たね。」
確かに男の指に掻き回されている其所はぐちゃぐちゃと粘着質な音を発てていた。
だけどそれが『快感』であるとは限らない。
そんなのは只の『反応』だ。
女が弄られて濡らせば悦んでいるのだと、また勘違いした男の馬鹿な台詞を聞かされるのだろうかとうんざりした時……
「あー……
僕、もう我慢出来ないや。」
男はあっさりと私の中から指を抜き出し、着ている物をばさばさと脱ぎ始める。
無駄な贅肉など一切付いていない、靭やかな筋肉に包まれた鋭い身体。
顔と同じで見惚れる程に綺麗だ。
まさか自分がこんな上等な男に抱いて貰えるなんて思いもしなかった。
ああ……そう言えば……
馴染みという程では無いけれど何度か私を買ってくれた中の一人が、この男に負けず劣らずの美丈夫だったな。
そんなどうでも良い事を考えている間にも、全裸になった男は私の脚の間に膝立ちになると再び膝裏を押し上げ
「……挿れるね。」
甘い声で囁きながら一物の先端を秘裂に宛てがう。
そして二度三度、馴染ませる様に擦り付けてからゆっくりと、でも無遠慮に腰を沈めて来た。